守屋有紗のRoad to Ocean Sailor vol.10【ファストネットレース】
こんにちは、守屋有紗です。
今日はRolex Fastnet Race 2021に出場した記録をお送りいたします。
初めての本格的な国際外洋レースへの挑戦。
何もかもが初めての中、どのような経験ができ、何を感じたのか?
迫力満点の約350艇による、695マイルの世界最大級の外洋レースでどんな光景が見られたのか?
これまでのフランスでの1ヶ月半のトレーニングの成果は出し切れたのか?
レースで体験したことをありのままにを伝えられたらと思い、ブログを書きました。温かい気持ちで、読んでもらえると嬉しいです。
8/7(土)
スタート前日。
フランスのシェルブール(Cherbourg)からスタート海面のイギリスのワイト島(Isles of Wight)にあるカウズ(Cowes)へと回航をします。
Rolex Fastnet Raceは、イギリスのカウズからスタートし、アイルランドの南にあるFastnet Rockを回航し、戻ってくるという695マイルのレースです。
例年はスタート、フィニッシュ共に、イギリスだったのですが、今年はコロナの影響でイギリスの出入国が難しいことから、スタートはイギリス、フィニッシュはフランスのシェルブールという所になりました。
フランスでのフィニッシュは、大会が始まって以来、初めてのことだそうで、運営の方々にも多くの苦労があったのだろうなと想像ができます。
レース受付等を行うレースビレッジも、フランス側とイギリス側にそれぞれ設けられていました。
私たち貴帆チームのように、フランスにベースを置くチームは、フランスから出発し、イギリスに入国せずレースに出場し、フランスに戻って来ることができるようになっていました。
スタート前日の夜にシェルブールを出発、スタート海面まで約70マイルの回航をし、スタート時間まで海上で待機をします。
回航時の風の予報は20kt〜35ktのリーチング。
私たちは、フランス時間の21時頃、シェルブールのハーバーを出発しました。
こちらでの日の入りの時間です。
沈む夕陽に照らされ、海も空もヨットも輝いていました。
フィニッシュ地点のここに帰ってくるのは約5日後。
長い旅の始まりです。
ストームジブと3ポイントリーフで、レース前に船を壊してしまわないよう安全第一で回航を行いました。
早速楽しそうに乗っています。
しかし、楽しい時間も束の間、その後は船酔いとの戦いが始まりました。
セールを温存するためにセールのパワーが不足した状態で走ったため、波に激しく叩かれ、私は早速船酔いになってしまいました。
船酔いになっても、夜間のワッチは気をつけなければなりません。
AISを搭載していない小さな漁船も多くいるため、目視でのワッチも必要になります。
6時間ごとに向きが入れ替わる潮の影響も考慮して回航します。
夜中に30kt以上吹いている中での夜間ワッチはとても怖かったです。
夜明け頃
30kt、波も高かったです。
無事にスタート海面に到着しました
レース後に話した方の中には、このレース前の回航で船が水浸しになり、航海計器が全てだめになりレースに参加できなかったというチームもありました。
私たちはトラブルなく無事に回航をすることができ、まずは一安心です。
スタート海面での様子
30kt程度の強風が吹いています。
スタート海面に着くと、4ポイントリーフをして、セキュリティゲートを通る準備をします。
セキュリティゲートは、全ての艇がスタート前に、ストームジブとトライスル(クラスによっては4ポイントリーフで代用可)を上げた状態で、海上に設置されたゲートを通過しなければならないものです。
Fastnet Raceは、過去に多くの遭難事故があったこともあり、安全に対するルールが厳格化されているとのことです。
私も、このレースに出場するにあたり、過去の大会や事故について調べましたが、過去の教訓を忘れず、起こりうる危険に対して十二分に備える必要があると感じました。
スタート1時間前の海図。約350艇のレース艇に加え、観覧艇もあり、海図はすごいことになっていました。
この時、メインセールに縦に15cmほどの亀裂が入っていることを発見…..
実は、このセールは北田さんとともに大西洋を3回横断している、計30,000マイルを走ったセールとのこと。
もういつ壊れてもおかしくない、ギリギリの状態です……
このレース中に壊れないことを願うしかないとのことでした….
スタート30分前
350艇が集まるスタートライン。30ktの強風…本当にドキドキしました。
西からの風、風上に向かってのスタートです。
私たちのClass40のクラスはImoca60クラスと同時にスタートします。
スタートのLIVE配信を見ていた方はご存じかもしれませんが、チーム貴帆はとても良いスタートを決めることができました。
陸上の大砲の音でスタート。
レースの公式写真にも、日本の貴帆チームがしっかりと写っております。
30ktの強風、Imoca60もいる中で、こんなに良いスタートが決められるのはすごいです…
私ももっとスタートの練習をしていきたいと感じました。
スタート直後の様子
スタート後は、イギリス本土とワイト島の間の狭いソレント海峡をタックを繰り返して進みます。
何度も他艇とミートしながらも、チームで息を合わせて進みました。
スタート時の迫力、興奮は今でも忘れられません。一緒にスタートしたImoca60 の前を走るのも、後にスタートしたIRCボートが迫ってくるのも、すごく迫力がありました。
航跡からも、各艇がタックを繰り返している様子が分かります。
2時間程でソレント海峡を抜け、南西に伸ばします。
上の動画でも、30kt以上の強風でのアップウインドが続いています。
ジュロームが海図を見ていますが、揺れが大きくかなり大変そうな様子が伺えます。
ぶれぶれですが、これでも必死に撮影した動画です…汗
ヘルムを持っていても、本当に吹き飛ばされそうで、とても怖かったです。
傾きがすごい上に、波に叩かれて船が上下に激しく動く揺れます。足をかけて踏ん張って、舵を持っていない方の手はどこかに捕まっていないとそこに座っていられないほどでした。
ブローが入ったらメインを出せるように準備しておかないといけないし、吹き飛ばされないよう必死に捕まるという緊張感。気を緩めたら死ぬんじゃないか、というほど命の危険を感じました。
加えて、辛いのが、前から滝のようにかぶる波。本当に前からバシャーン、バシャーンとバケツで水を投げられているように波をかぶり、カッパの中まで全身ずぶ濡れになっていました。
ヘルムを持っていても辛い。ワッチオフで船内に入っても、激しい揺れで船酔い。辛い。
もう本当になんでこんなことしているんだろう、何が楽しいんだろう、という気持ちになりました。
酔い止めを飲んでとにかく寝るけど、寝ても覚めてもずっと気持ち悪いのが続きました。
PCの画面も見ていたら気持ち悪くなるし、お腹は減るけど(体力的に)お湯を沸かせる状態ではないし、パンを取りに行くのもしんどいくらいでした。
こうなることを覚悟はしていたけど、実際に体感してみるとほんとに辛いと感じました。
チームマネージャーのパトリシアにもらったアドバイス、「船酔いで辛いと思っても6時間後には体が慣れるから大丈夫。」、この言葉を思い出し、本当に早く慣れるしかない、早く慣れてくれ、と祈るのみでした。
スタート後6時間経ってもこの荒れ具合です。
6時間後でも全然慣れないじゃん!(泣)と思いながらも、もう少ししたら慣れる、と自分に言い聞かせていました。
1日目の夜は少し風が落ちていきました。15kt〜25ktの風が強弱を繰り返しました。
夜明け頃になって、ようやく自分の体は慣れてきたかなと感じられました。
2日目朝の船内
2日目朝の海面
この頃まだ20kt程度吹いており、揺れも大きかったですが、少し希望が持てるようになってきました。
そして、今までパンとバナナしか食べられていなかったのが、お湯を沸かし、レースフード一食目を食べることができました。
2日目は徐々に風が落ちていき、昼過ぎには15kt前後になりました。
それまでステイスルだったヘッドセールをジブに変えました。(このタイミングが遅かった…)
イギリスの南西部の陸地です。とても綺麗。
綺麗な陸地を見ながらのセーリングはとても幸せな気分になれました。
電波が繋がり、自分たちの順位を知ることになります。現在20位。
前のClass40の艇団から遅れており、イギリスの西端、ランズエンドとDST(航行禁止区域)の間を追い潮のうちに通ることができなくなりそうでした。
先頭集団が追い潮でさっさと通り抜けていく中、それに遅れれば遅れるほど逆潮がきつくなり、さらに前との差が広がってしまうという状況でした。
ランズエンドを超えた後は、風向的に大きくひっくり返すのはかなり難しそう。1日目の夜のミスが悔やまれます。
私たちが昨夜遅れた原因は2つ。
1つ目は、同じクラス、Class40のライバル艇の動きを確認できなかったこと。この大会では、トラッキング機能により、ネット上で全レース艇の動きが分かるようになっていました。
インターネットが繋がる陸上では、15分おきにデータが更新され、リアルタイムの位置が分かります。
しかし、電波の飛んでいない海上では、自分で衛星通信を繋いでデータを取得しなければなりません。
衛星通信は高額のため、頻繁にデータを取得することができず、また、提供されるトラッキングファイルも数時間おきのデータでした。そして、今回はそのファイルの一部がエラーになっていたようで、正確な情報が得られませんでした。レース後に、他のいくつかのチームに聞いたところ、提供されるファイルではなく、衛星通信でネットに繋いでアプリやサイトからトラッキングを確認していたとのこと。
ちなみに、多くの艇が取ったコースが、あるルーティングソフトの提案するコースに近いものでした。
もしきちんと他艇の動きを確認できていたら、序盤から艇団から外れてしまうこともなかったと反省しています。
遅れた原因2つ目は、セールの選択です。スタート後から30ktの風が何時間も続き、ステイスルと2ポイントリーフで走っていましたが、夜間に風が20kt前後まで落ちた際、ステイスルからジブに変えず、他艇に比べてパワーが不足したまま走ってしまいました。
私たちのチームは、レース中に古いセールが壊れてしまわないよう、常に無理をしないセール選択をしていましたが、他のチームは多少の無理をしてでも速く走れる選択をしていたようで、そこで艇速の差がついてしまいました。
それらに気付いたのは2日目の午後、陸が近づいてスマホに陸の電波が通るようになってからでした。
ランズエンドの逆潮を受け、今後の風の予報では逆転が難しいことを知りました。
それでも、私たちは今できることをしようと、少しでも速く艇を走らせることに集中しました。
途中は、イギリス軍のヘリがすごく近くまで寄ってきて、扉を開けて手を振ってくれることもありました。
ランズエンドに到着
その後少しロスをしてしまいましたが、なんとかランズエンドを越えて北上することができました。
北田さんとランズエンド
守屋とランズエンド
13kt前後のリーチング。ようやくアップウインドを脱出し、コードゼロを上げました。
すぐ近くには複数の艇がいます。
夕陽に照らされたヨットとランズエンド。
本当に綺麗な光景を見ることができました。
初めてどん兵衛を食べるジェローム。
感想は…
「今までに食べたことのない味…」
微妙だったようです(笑)
ちなみに、チキンラーメンは気に入ってくれたようでした。
北田さんはチキンラーメンをバリバリとそのまま食べてます。数々の荒れた海を経験し、カップ麺やドライフードをそのまま食べれるようにになったとか…海の男の極限の世界…
想像を絶する経験をしてこられたのだろうなと感じました…
話すジェロームとヴァンサン
夜になり、星がとても綺麗に見えました。空一面に広がる星、流れ星もいっぱい見れました。本当に綺麗でした。
夜中の0時頃、DST(航行禁止区域)を超え、ジブセールに変えて再びアップウインドの始まりです。
真っ暗
この頃には船での生活にも体が慣れてきて、セーリングを楽しむ余裕ができていました。
というより、もう楽しいの一言でした。
初めてセーリングする海域で綺麗な景色を見ながら昼も夜もセーリングができることが本当に幸せに感じました。
明け方4時からのワッチも、本当は3時間で交代だけど、ヘルムを取っているのが楽しくて、8:30になるまで2人を起こしませんでした。
12-14ktの安定した風がとても走らせやすくて、ずっと舵を握っていました。
貴重な経験をさせてもらえていることが本当にありがたく感じました。
3日目の明け方の位置
3日目の夜明け
3日目の昼
コードゼロを上げます
上げた時は10kt程度だった風速が徐々に上がっていき、15ktを超える風になりました。時には18ktになることも。
こちらも、古いセールが壊れないかヒヤヒヤしながら、ジブへのチェンジしないといけないかもというタイミングが何度かありました。
風が上がった際にはバラストも入れました。
艇速11ktで快走中。ファストネットロックまで100マイルを切りました。
いい風にピース
北田さんも集中モード
3日目お昼過ぎのセーリングの様子と船内の様子です。
随分と揺れも収まりました。
夕方の位置
ファストネットに近づいてきました。ロックまで50マイル強!
ワッチオフ時はスタンのセールの上で寝ていました。寝床からの風景。
この時、どうにもこうにもお腹が減って寝れなかったので、お湯を沸かしてドライフードを食べました。
食べるのが好きな私は、ごはんを食べると元気になります。ほんとに単純。でも便利(笑)
3日目の19時頃、10kt程度の曇り空の中、コードゼロでセーリング。
ファストネットロックまであと15マイル程!
昼からここまでコードゼロで一直線。帰りのレグも恐らく一直線のリーチングです。
前との差を縮められるチャンスがなく、1日目でついた順位が継続しそうです。
もっとコースを勉強したい、そう強く思いました。
今できることは、後ろに抜かれないことと前にできるだけ近づけるよう走らせること。
集中です。
みんなでパシャリ
ロックまでもう少しだと思うとみんなの士気も高まります。
そして3日目の20時頃
ロックの光が見えてきました!
少しずつ近づくFastnet Rock、そして回航の段取りをする私たち。
8/10 21:41 BST ついにロックを回航です!
スタートから2日半が経過しておりました。
せっかくなのでみんなで記念撮影!
全然入ってない!(笑)
撮り直してもう一度。しっかり4人写りました。
ロックをギリギリ暗くなる前に見ることができました。
回航後はまたすぐにレースモードへ。
前の艇には先程のコードゼロでの走りで大きく追いつきました。このまま追い越したいと頑張ります。
ロックまでの数時間は全員でワッチをしており、また私はオフの時に寝れないのが続いてしまっており、疲れていました。(空腹だったのと、クッションが臭くて寝れなかったのと)
一旦ワッチオフで休みます。
夜中の船内
夜中のワッチ
ロックを回った後、20kt-27ktの風が続き、1日目くらい大きく揺れていました。
なかなか動画では伝わらないですが、揺れも大きく、時々大量の海水が船上に飛び込んできます。
ドジャーの中にいても、ドジャーを超えた波が後ろから飛び込んできます。
ジブはそのままで、メインのリーフとウォーターバラストで、風の強弱に対応します。
笑っちゃう程揺れ、再び船酔いに襲われました。が、笑える余裕が出ただけ1日目よりかはましだと思えました。
お湯も沸かせず、ビスケットとバナナを食べました。(焼肉が食べたい…と焼肉が何度も頭をよぎりました(笑))
アネロン(日本の酔い止め)を1日2回のペースで飲み、船酔いもなんとか耐えられるようになってきました。この頃にはPCも長時間見れるようになりました。
嫌なのが髪の毛がベトベトすること。1日目に頭から海水を何度もかぶって、それが乾いたらすぐにベトベトになってしまいました。洗えないのが辛かったです。
4日目の朝
船内からの様子です。20kt程度吹いていますね。
メインを出していてもかなりヒールしています。
船の後ろにできる波が芸術作品のように綺麗だと感じました。
海は深く濃い紺色をしていますが、そこに真っ白な波が立ち、海面は濁りのない透明な水の色が光っています。
とても綺麗で、それを見ているだけでも疲れが取れるような気がしました。
りんごを食べて喜ぶ私。やっぱり食べてる時が一番幸せそう。
それを見てほほえむ北田さん(笑)
4日目の午前、早くもイギリスの南西に帰ってきました。帰りのリーチングはやはり速いですね。
お昼過ぎ、A5のジェネカーをセットしました。
私もダウンウインドのヘルムをさせてもらいます。
プレーニングをして走らせて、すごいスピードが本当に楽しかったです。
イルカもいっぱい近づいてきて、一緒に走りました。カモメも沢山いました。
ステイスルを上げて2枚張りに。
スピードが1kt程上がりました。
夜になっても、後はフィニッシュ地のフランス、シェルブールを目指すのみ。
もうすぐレースが終わってしまうのが、とても寂しい気持ちになりました。
夜中にはジェロームがエンジンの確認をしてくれました。不調の原因が分かってよかったです。
夜中のセールチェンジ
夜明けが近づいてきました
フィニッシュ地のシェルブールは、まさに日の出の方角。
昇る朝日に向かって進みます。
最後の夜は寝ずに全員でワッチです。
この頃はまだレースが終わってほしくないという気持ちが強かったです。
日の出
最後はヘルムを持たせてもらって、ラストスパートです
始めはヴァンサンが舵を持っていたのですが、北田さんが最後だからと私にさせてくれました。
貴重な経験をさせてもらってありがとうございます…><
8/12 9:09 BST 無事にフィニッシュすることができました。
スタートしてから、695マイル、3日と21時間でフィニッシュしました。
レース後は、先に到着したClass40の方が迎えてくれたり、フィニッシュ後の手続きをしたり、またフランス空軍によるショーもありました。
そしてランチに…
肉!
レース中ずっと食べたかったお肉です!
美味しすぎて幸せすぎて感激しました。
デザートまでご馳走になり、嬉しそうな顔(笑)
Class40が多く係留されています。
すぐにホームポートへ向けて出発するチームや、1日、2日後に回航をするチームもありました。
貴帆も
レースビレッジの様子
テントが立ち並んでいます。
北田さんもこの笑顔!艇長としてこのレースに出るのは本当にすごい。クルーとは比べ物にならない程の責任感、緊張感があるのだろうと想像します。
フィニッシュした日は休み、次の日は整備と片付けをしました。
心配だった壊れかけのメインセールは、このように大きな亀裂が入っていました…
本当にギリギリの状態で走ってくれていたことが分かります。
リペアをしてあげます。
レース後の私は、本当に疲れていて、寝ても寝ても眠い状態でした。
人とあまり会話もしたくないし、とにかく1人で休みたいという気分になりました。
そして、通りがかった花屋さんで、お花を買いました。頑張った自分へのご褒美。お花が心を癒してくれるように感じました。
シェルブールの街
「シェルブールの雨傘」というミュージカル映画の舞台になった街だそう。とても可愛らしくて綺麗な街でした。
ナポレオン像
次の日、ロリアンまで270マイルの回航をしました。
お花も一緒に回航しました。
同じように回航するチームも多くありました。
途中は25kt以上の強風が吹き、回航もなかなか大変でしたが、2日後ロリアンに無事到着しました。
夜中でしたが北田さんとマナさんが迎えに来てくれました。
ロリアンで片付けをしました。
船内も丸洗いをします。
お花も無事(一回吹き飛ばされたけど、しっかり固縛して無事に辿り着きました)
オフシーズンの整備の段取りをして
PCR検査を受け
今回のキャンペーンの終了です。
名残惜しそうに倉庫にしばしのお別れをする北田さん
〈レースのまとめ〉
695マイル、4日間。
終わってみると、本当にあっという間の時間でした。
初めての挑戦に大変に感じることもとても多かったですが、それも含めて本当に楽しくて幸せで貴重な経験をすることができました。
フィニッシュ時は、達成感というよりは悔しいと思う気持ちが強くありました。
自分がこのレースでできなかったことを思い、まだまだ不足しているスキルをもっと高めたいという気持ちになりました。
コースの引き方、セールの選択、バラストの使い方、メンテナンス、ボートハンドリング、セールトリム等、どれもがまだまだ勉強不足だと感じ、もっと高いレベルで考え、レースができるようになりたいと強く感じました。
レースに出る前には想像も付かなかった多くの経験ができ、そして今の自分に不足しているスキルに気付くことができたこと、本当にかけがえのない経験ができたとありがたく感じています。
今回のキャンペーンは、外洋に挑戦する日本人を支援する目的で発足されたJOSA(日本オーシャンセーラー協会)主催、大阪のバルトロメチーム、フランスの貴帆チームの協力により実施されました。
JOSAの代表で、貴帆のオーナーである北田さんが、若手セーラーを育てたいという思いから、今回の私の挑戦を全面的にバックアップをしてくださり、このキャンペーンを実施することができました。
1ヶ月半もの間、フランスのClass40「貴帆」で、トレーニングをしていただいたことで、Fastnet Raceという世界最大級のレースにも出場することができました。
本当にこのような恵まれた機会をいただけたこと、ここまでご指導いただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、このキャンペーンにはJOSAの関係者の皆様や現地のスタッフの方々、ご支援を申し出てくださった方々等、本当に多くのサポートがあり実現することができました。
また、今回は応援の力というものも強く感じました。今回のキャンペーンはブログやFacebookを通して、多くの方々に見ていただき、いいねや応援のメッセージをいただきました。
皆様の温かい応援が本当に力になり、辛い時にも頑張れることを知りました。
今回経験させてもらえたこと、学んだことを、外洋セーラーとしての一歩とし、これからの挑戦に活かしていきたいと思います。
ご支援、応援をいただきました皆様、本当にありがとうございました。
次の最終回で今回のキャンペーンの振り返りをしますので、よろしければ最後までお付き合いお願いします。
【註釈】今回のレースに参加したクルー
ヴァンサン(Vincent Domand) 25歳
フランス人セーラー:Figaro3ダブルハンドのコスキッパーで優勝経験あり、現在はIMOCA60アルノチームでジャンと共に働いている。Rolex Fastnet RaceとClass40は初めてで、レース前の回航参加で他に練習無し
ジェローム(Jérôme Solem) 42歳
フランス人セーラー:テクニシャンとしてIMOCA60チーム等で働く。初めてのレース経験が今回のFastnet Race。Class40も初めてで、レース前の回航参加で他に練習無し
守屋有紗(もりや ありさ)
1996年生まれ
大阪府大阪市在住
【活動記録】
ショートコード
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