toggle
2018-08-27

Tip&Shaft Vol.2

  • PIERRE-YVES LAUTROU
  • Pierre-Yves LAUTROU
    ピエーリィヴ・ロトゥルー

    2015年7月まで、「L’Express」にてヨット、また政治、経済報道の記者を15年間勤める。
    同時に10年間におよび、ブログ「Au Large」を執筆。
    自身も数年にわたりmini6.5を走らせ、2010年はMini-Transat に参戦。
    Class40では2014年のRoute du Rhumに出場した。
    2015年11月、アキセル・キャプロン氏と「Tip&Shaft」を共同創立。

2018年7月2日
Volvoは公式にIMOCAへ参入

Axel Capron筆

先週木曜日ハーグで紹介されたVolvo Ocean OceanとImoca間の提携同意に金曜日の午前中、調印がされた。Tip&Shaftは長きに渡り、オフィショアレースにおいて相対していた二つの世界を近づけることに貢献するこの歴史的な同意がされるまでの経緯を伝える。

7ヶ月の検討

同意に至るまでにおよそ7ヶ月が必要だった。この同意はターナー氏による「門戸解放」無くしては至らなかった、少なくともこのような速度では。とImoca代表のメルモ氏は述べた。当時Volvoの代表を務めていたターナー氏は2017年5月にVolvo Ocean RaceのImoca規定に「適応」する60フィート艇Super Sixtyへの移行を発表した。たとえターナー氏が辞任前にImocaの受け入れ拒否という形で終結を申し出たとみられていてもVolvo Ocean RaceとImoca間の関係は途絶えなかった。昨年の秋に改めて折衝が取られている。

「私たちは11月Johan Salén に会いました。[Richard Brisiusと共にMark Turnerの後任。彼らの会社Societe Atlantが6月上旬Volvoを買収した:記者追記]目的はただ両サイドから何が出来、何が出来ないかを分析することで、私たちはすぐにお互いに驚くべきイベントを持っていることを確認しました。しかしながら、それらのイベントに正しい方法で参加するためのお金を見つけることはチームにとって困難でした。そこで私たちは一緒に強固で価値付けに繋がる手本を作り、私たちの2つの歴史の中で素晴らしく生き生きとした10〜15チームを受け入れるに至る様に取り組むことは決して馬鹿げた事ではないのだと考えたのです。」メルモ氏が説明する。

各サイドがこの共同プロジェクトに専念し、4月のImoca会合で大幅大多数によって採用される以前の3月中旬にプロジェクトが具体化した。「51%対49%ではダメだったのです。」メルモ氏にとって、とても重要な瞬間だった。Volvo Ocean Race買収手続きは話し合いを保留としていたが、6月中旬に再開され終結した。新たなレースオーナー達とメルモ氏による以降2シーズンのレースに対する提携同意は金曜の昼に調印された。メルモ氏はこの前日にVolvo Ocean Oceanチームに紹介がされた。公式発表は金曜日を予定していたが、ハーグの港を悲しみに包んだ死亡衝突事故を理由に月曜日に延期された。

Imocaによる初Volvo Ocean Raceは2021年秋

月曜日の記者発表でVolvoとImocaに関わる同意文言の詳細が明らかになるとすれば主な情報は2021年-2022年に開催を予定している第12期Volvo Ocean Raceに参加する既存のImocaもしくは新規の60フィート艇に乗船するクルーの人数はおそらく5人という事だ。どうしてこの日程なのか?この質問にメルモ氏が答えた。「Volvo Ocean Raceにとって、それ以外の日程が不可能だったのです。私たちにとって選択肢は2021年-2022年だった。La Route du Rhumはフランス人にとって非常に重要なレースなので2021年を選びました。スタートはおそらく秋になるでしょう。ぶつかってしまう(競い合う)レースはTransat Jacques Vabreですが、Vendee Globeに30艇が参加するとして、その中の5艇がVolvoに参加するとすれば、ル=アーブルには潜在的に素晴らしい舞台が残されるでしょう。」

この両者の同意は同様に金銭的側面も含まれているのか?

「Imocaがサービスを提供するという事で言えば、つまりある程度の専門的技術と艇団、いくつかの契約を結ぶという事ですが、それにはVendee Globeやその他のレースと同様に金銭面での代償があります。[Vendee Globeは毎年Imocaに対して80,000ユーロを支払っている(記者追記)]Imocaの代表メルモ氏は具体的な金額については「内密」と答えた。

昨年発表された規定にある《クルーセクション》

提携同意に調印される前日プロジェクトに対して、技術面を本質的に掲げた2つの集会がハーグで行われた。最初の集会ではVolvoのオーナーがNick Biceによって引導される彼らの「ショアチーム」と共に参加し、現在Imocaの設計をするデザイナー、VPLPからはVincent Lauriot-PrévostとQuentin Lucet 、Guillaume Verdier、 Juan Kouyoumdjian、 Sam Manuard、さらにGSea DesignとGurit の代表者達、そしてAntoine Mermode とVincent Riouが集まった。Imocaの技術委員会責任者を務めていたVincent Riouは「私の経験を共有するために来て欲しいと頼まれた」と話した。 「この集会のテーマはこの同意が意味を持つものだったかを一緒に評価し、技術面での問題解決策を見つける事でした。私たちは皆、詳細を除けばおおよそ二つのプログラムが適応しているという事で同意していました。」Vincent Lauriot-Prévostが説明した。

次にプロジェクトはVolovoの今季参加チーム等に「教育的ミーティング(educational meeting)」の際に紹介された。この「教育的ミーティング」は主に技術的規律に関する質疑応答のための場だ。Vincent Lauriot-Prevostが続けた。「チームはラスト数分で勝敗が決められた今シーズンの渦中にまだいたため、これからもレースが接近戦になるのか、また私たちがImocaのデザインをしている途中で中断することが無いかを知りたがっていました。」質問は規定への適合に従属する返答となるものが多く見られた。これからの6ヶ月でImocaとVolvo Ocean Raceは2つからなる委員会を介し、特に2021年のVolvoのため、現存する規定「クルーセクション」の作成に取り組む。次回のVendee Globeまで、規定の他の部分の変更はされない予定だ。

「主な目標は2020年のVendee Globeに参加した船がVolvo2021で競争できる様にすることです。この考えは変わりませんが、フルクルーにおける問題点に対して順応させなくてはいけません。」とメルモ氏が説明した 。これは特にスキッパーに関わる問題だ。「Imocaの力は常に現存する艇団を保持することでそのルールを進化させている事にある。今回もそれに当てはまる。」とVincent Riou 。この「クルーセクション」は今年末までに明らかとなる。次に続くキャンペーンは?「続くキャンペーンについては2020年のVendee Globe後、2019-2020に承認をするための話し合いが持たれるでしょう。」

Imocaへの影響は?

何人かのスキッパーはこの歩み寄りに紐付く予算のインフレーションリスクを心配している。メルモ氏にとって、この同意は利点しかない。「私たちは最も大きい2つの世界レースを同じカテゴリー、優秀なフランス人、世界の優秀なセーラー、オリンピックチャンピオンの中で融合することができます。Vendee Globeの様なレースは時に世界における知名度を上げ、国際的セーラーを呼び寄せるチャンスです。」とメルモ氏。落ち着いた様子のVincent Riouは平凡にImoca にとっての象徴的勝利をそこに見出した。「それは素晴らしい冒険の始まりで、とても感動的です。私たちにとってはVolvoのモデルが私たちのモデルに近づくのであって、その逆はありません。それは全ての準備に参加していた時に得られる喜びです。今からは、長く続く穏やかな流れというわけには行かない…」

もちろん見通される仕事はある。Imocaで言えば、技術面と法律面でのさらなる構造化は余儀なくされた。「必然的に私たちは再強化され、そこには我々の本格的な努力が必要となるでしょう。これは私たちにとって大きな追い風であって、そこに飛び込むのは刺激的です。」メルモ氏は話した。Volvo Oceau RaceとImocaの歩み寄りは同時にImocaに携わる現時点で組織化し、プロ化している幾つかのチームの成長を加速させることができる。Dongfengの勝利によって照らされたJeremie Beyouが前に出た。「私たちはImoca艇をスポーツ面と技術面で発展させている最中にある組織を持っています。つまりこの組織はVolvoバージョンのImoca に取り組むポテンシャルを持つでしょう。私たちはノウハウがあり、規定とこの船の展開を完璧に把握したリサーチオフィスを持っているのです。チームのために働くのは悪くないでしょう?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これまでの経緯はこちらでご覧いただけます>Tip&Shaftコラム記事2017年10月11日

注:下線表記部分の日本語翻訳に関しては非常に解釈に苦しみました。あくまでも弊会での解釈になりますのでご了承くださいませ。

原文記事はこちらからご覧頂けます!

ほかの記事を読む