toggle
2020-08-30

佳代と冨ちゃんの灼熱の夏!ダブルハンド200マイル無寄港・激トレレポート

こんにちは。JORA会員としてトレーニングに励んでいる中野佳代子さんと、森村理事が率いるバルトロメチームのリーダー冨田昭博さんが、8月某日200マイルトライアルを成功させました。お二人のレポートと動画をお楽しみください。

【動画】佳代と冨ちゃんの灼熱の夏!ダブルハンド200マイル無寄港・激トレレポート

中野氏と冨田氏

中野氏と冨田氏

【中野佳代子レポート】

夏の終わりのある日、2オーバーナイトでトレーニングを受けるチャンスが舞い込んだ。ダブルハンドで200マイル無寄港の激トレに、前日は興奮してほぼ眠れないまま突入。

今回の相棒、冨ちゃんこと冨田さんとは初対面。憧れのメルボルン大阪ダブルハンドレースに出場したJORA森村理事の愛艇バルトロメ号(DHL38)にて迎えに来てくれるという贅沢シチュエーション、乗船してからのはじめまして。でも、気さくな関西ノリにひとまず安心。一通り艤装を確認したのち、さっそくタック練習。いよいよ始まったとワクワクがとまらない。元々ディンギーセーラーの私には不慣れなラットを握りしめ、まずはバルトロメ号と仲良くなることに専念。関西のセーラーとして、いつかチャレンジすると心に決めているメルボルンまで往復したヨットだと思うだけで心が震えていた。

美しい夕景に包まれながら、今度は角度を見ながらスピードをつけて走らせるトレーニング。友ヶ島水道を目指し、風も15ノットぐらい上がってきた。体感的にだんだんイメージができてくる。この段階では師匠はとにかく褒めて、気分をノリノリにしてくれた。計器で潮の影響も確認しながら、和歌山沖を目指した。

美しい夕景に包まれながら

美しい夕景に包まれながら

気がつけば20時をまわり、ワッチ体制を決めなきゃとじゃんけん。冨ちゃんとは「最初はグー」のタイミングも息が合うほどになっていた。1回目のワッチは2時間、2回目は3時間と決定。私は後半ワッチだったので、2回目のワッチオフから戻ると朝7時。すでに暑い。ショートミーティングののち、いきなりのジャイブ練習がはじまった。寝起きであろうが関係ないのが激トレである。師匠の「155度を意識して!」との言葉が「551」に聞こえる。暑いし、おなかが空いたけれど「豚まんが食べたい」とは言えないシチュエーションなのは理解している。激トレなのだから。針路は和歌山沖から大阪湾へ。風も落ち、ただの灼熱に・・頭からシャワーの水をかけたがいいお湯だった。

TWA155度が551に聞こえる。「豚まんが食べたい」とは言えない…

TWA155度が551に聞こえる。「豚まんが食べたい」とは言えない…

暑くても、寝不足でも、心の底からの「やりたい!」は躍動感しかうまない。せっかちな関西人気質。思い立つとすぐ体が動いてしまう私だが、長いオーシャンレースでは体力温存も大事、失敗は致命的。ちょっと考えてから動くことが大事だと教わり、心がけるようにした。どのような状況下であっても、船をぜったいに壊さないように工夫して動くこと。たった1回のタックのミスで生まれた差は、最後まで縮まらないこと。ワンデザインのオーシャンレースの厳しさをたくさん聴かせていただいた。またバウ作業でもいかに安全を確保しながら手際よくやるのか、これまでのご経験から培ったコツを教わった。ディンギーのダブルハンドとは異なり、オーシャンレースのダブルハンドは基本ソロですべてができなくてはならない。2日目からは「ソロだったらどうするか?」の感覚で指導を聴くことができた。夜はワッチオフの間に雷雲をよけながら冨ちゃんがコースを取ってくれた。20ノットまで吹き上がったのち、淡路島沖では微風~無風になり、風もよく振れたが、わずかな風をスピードに変えながら、バーチャルマークに向かって根気強く走らせた。

朝5時からリーフの練習

朝5時からリーフの練習

3日目は朝5時からリーフの練習。平常時と外洋の荒天コンディションでは同じことが同じようにはいかない。いちいちイメージしながら、なんでもゆっくりと理解する私に、急かさず解説してくださる心遣いがありがたかった。師匠は指導において、決して声を荒げることがない。常に的確なタイミングで、短いフレーズのアドバイスが穏やかに飛んでくる。大切なことが、伝わるように伝えようとされる。レベルによらず、相手を尊重し見守るスタイル。この指導スタイルは、日頃、アスリートのセカンドキャリア支援で教育・指導を行う自分自身にとって、とても共鳴しつつ学びとなった。今まではオーシャンレース界の憧れのレジェンドだった北田浩代表が、この日から本当に師匠にみえた。

目標としているヨーロッパでのオーシャンレースにチャレンジできる日まで、ゆっくりかもしれないが確実に身につけること、「ソロ」を意識して動くこと、下半身中心に体にパワーをつけること、課題しかないぐらいの課題だらけだが、夢実現へ向けて楽しくて仕方がない。

夢実現へ向けて

夢実現へ向けて

【冨田昭博レポート】

セーリング知識は猿まねレベルで我流の私にとって貴重な体験記が始まった。

それは突然やってきた・・・出航前の遅めのランチである。今回の指南役JORA代表の北田さんがステーキ300gを注文した!「トミちゃんも食べなよ」との言葉に、猛暑の中、2オーバーナイトを見据えての栄養補給だと気づいた。日ごろ何事にも準備8割を意識している私にとって、一つ目の学ぶべきポイントが陸からすでに始まっていた。

ゴチで〜っす😄

ゴチで〜っす😄

ダブルハンドを一緒に学び体験する中野佳代子さん(以降:佳代さん)とも合流し、北田さんより今回の目的と、基本佳代さんとダブルハンドで航海すること、そして「何でも遠慮なく聞くこと、叱りはNGほめて伸ばす」ことなどご自身の方針を話された。

私が所属するOHYC(大阪北港ヨットクラブ)ではレースともなれば叱咤激励が飛び交ういい意味での体育会系イメージと真逆であるが、妙な安心感と楽しみながら学ばせてもらおうと自分なりの方針も固まった。

1日目16時半、夏らしい南風の中、大阪湾を南下し友ヶ島水道を目指す上りのレグがスタートした。佳代さんにとっては初めてのバルトロメ号で夕方からの短時間で慣れていただくことも鑑み、夜間ワッチは遅めの21時から2・2・3・3と深夜は少しゆっくり休めるように組んだが、この日の大阪は夜になっても蒸し暑い特に船内は・・・お盆休みもオーバーナイトで出かけたが夜はこれほど暑くなかった。だが寝ることも大事な任務と自分に言い聞かせ何とか休んだ。

オーバーナイトは何度も経験しているが、ダブルハンドでは初めてで、当たり前だが夜間はシングルハンドである。

微軽風だったことと北田さんという大きな保険がいてくださることで安心してというか、むしろ一人の世界を楽しむことができた。

ただ深夜3時間のワッチ中、所々オーパイを使いながら楽をしていた私に対し、佳代さんはずっとラットを握っていたと聞き脱帽。

この海の色はいつ見てもいい色だ

この海の色はいつ見てもいい色だ

2日目朝には紀伊水道も抜け1年振りに太平洋に出た。この海の色はいつ見てもいい色だ。毎日この海の色を見ながらセーリングがしたい!なんて事を思いながら2日目一つ目のミッション「コード0」の練習がスタート。ハリヤードとタックラインのテンションのかけ方やバランスの取り方、ファーラーやファーリングラインの取り回し、ツィーカーのバルトロメ流のセッティングに対し、更にポテンシャルを高めるために一つ一つのセッティングを見直す所から始まった。北田さんがバルトロメに来て下さる回数が増えるごとに船のポテンシャルが上がっていくことを森村オーナーはじめクルーの皆が感じている。その手法を間近で体感でき、60-150度と使える領域が広がっていく北田マジックを目の当たりにした。

昼頃になるとベタ凪となり海上なのに今まで経験したことのない位の酷暑。メインセイルでなんとか影を作り水分補給と暫しの休息。「瀬戸のしお」というバルトロメクルー愛ちゃんの一押し揚げせんべいが強い日差しのせいで熱々状態に・・・とりあえず食べてみるとこれがびっくりメチャ旨し!まるで工場見学で出てくる出来立てみたい!これで塩分補給もばっちり!

まだ残り100マイル以上、熱中症にならないよう体力温存も大切なこと。

※かき氷食いて~と今回のベストツーショットを盗撮(笑)

かき氷🍧配達願います

かき氷🍧配達願います

ベストツーショット

今回のベストツーショット

風も入りはじめ復路のダウンウインドに向け、スナッファーをセットしたジェネカーの上げ下ろしの裏技を教わった。それはシングルやダブルハンド時に、より確実に且つ安全に作業できる理にかなった手順である。

そして、ジャイブ・ジャイブ・ジャイブ・・・我流を補正しつつ二人の息を合わせるように繰り返し練習しながら紀伊水道を北上。

夕方友ヶ島水道間近で風速10ノットオーバーのバルトロメの風(良い風)が入りはじめ、徐々に軽いうねりと風速も15ノットオーバーとコンディションが良くなり北田さんから艇速10ノット出そうとのミッションが下った。プチサーフィングを楽しみながら10ノットミッションをクリアーでき楽しめた。

ジャイブしながら紀伊水道を北上

ジャイブしながら紀伊水道を北上

しかし、楽しい時間はつかの間、日が暮れると風速は更に上がりMAX20ノットオーバー・・・船上の雰囲気は一変し、ローリングを抑えながらジェネカーをなんとか取り込んだ。

すると風は徐々に弱まり「あるあるやなぁ~」と皆で笑いながら大阪湾を北上、明石海峡大橋のライトアップがきれいに見えているのに神戸や大阪の夜景が全く見えない?真っ暗闇に嫌な閃光がピカピカ・・・まずい雷雲や!雨雲レーダーで位置と動きを予測し、さぁ次なるミッション「雷雲から逃げろ」の巻きがスタート!ラフしてタックしてベアしてと、アビームで最高速をキープしながら、とりあえず淡路島方面へ避難。雨雲レーダー画面とチャートマップ画面を睨めっこしていると洲本沖に何やら見覚えのあるマークが打っている。そうこれは6月に開催された大阪湾1周オーバーナイトレース時の1レグマークだ!北田さんにも参加いただき11艇中バルトロメは惜しくも2位だった思い出がよみがえる。よし次なるミッションは200マイル完全達成に向けてこの仮想マークを回航しようと決まった。難なく洲本沖のマークを回航、今回は勿論1位でリベンジ達成!?(1艇中)。

この後「雷雲から逃げろ」の巻きがスタート!

この後「雷雲から逃げろ」の巻きがスタート!

そして、雷雲達をかわしながら最終ミッションのゴール大阪北港を目指す。

最後のワッチオフで爆睡していると軽風にも関わらずデッキ上から、何やら色々と作業をしている音が聞こえてくる・・・オフ明けデッキに戻ると1ポンと2ポンをまだやってなかったから「佳代子をシゴイテタ」とのこと。なんて元気で直向きな人たちだと感心させられた。

いよいよ淀川河口付近まで帰ってきてオールミッションクリアーと思っていると、最後に何か再確認したいことない?と北田さんが一言・・・思わずジェネカーUP-DOWNの裏技をもう一度お願いしますと言っちゃった所、嫌な顔ひとつせず二人ともやりましょう!とどこまでもストイック。

200マイル達成!

200マイル達成!

佳代さんは終始メモを取り、時には写真や動画を撮り、また録音したりと北田さんの教えを聞き逃すことの無いよう取り組む姿勢が素晴らしいと思った。

北田さんは有言実行、何でも聞いたことに対しご自身の経験と知識を惜しみなく教えてくださり、勿論叱ることもなく、むしろ楽しませていただけたことに感謝の一言です。

森村オーナーはじめ、今回残念ながら参加できなかったクルーのキーちゃん達にも教わったことをシェアしバルトロメ号を盛り上げていくとともに、JORAの活動にも超微力ながら協力していければと思います。

ありがとうございました。感謝。

OHYC  Bartolome Crew 冨田昭博

夕日をバックに(中野佳代子撮影)

夕日をバックに(中野佳代子撮影)

追伸、猿まねレベルから早く人間なりたい~!

【最後に、今回指南役として同上した北田代表からの感想】

誠に僭越ながら200マイル激トレの感想を述べさせて頂きたいと思います。
前回の「幸希と愛の200マイル」同様、今回の「佳代と冨ちゃんの激トレ」での私の役割は、ひとつでも多く自分の経験を伝えることと、万一の際の保険になること。一番肝心なのはダブルハンド200マイルレースモードで最初から最後までマジギレで走りきり、必要な身体能力や睡眠などについて、実戦に近い感覚を体験してもらいたいことでした。
罵倒しながらは私の主義ではないので、ニコニコしながら愛の鞭を振ることにしています。

冨ちゃん
一言で言うとセンスが良いですね。教えたことを理解するのが早いですね。寒くても暑くても微風でも強風でも表情を変えず飄々と取り組む姿勢には、森村バルトロメ号の右腕として大いに期待できるものと思います。あとは場数をこなすことで、頼れるスキッパーになり得る才能有りとみえました。時間が許すのであれば是非ロングレースにもチャレンジして経験値を上げて欲しいと思います。

佳代子
まだ外洋に出たてのホヤホヤって感じですが、やる気は120%くらいでしょうか。大切なのは真摯に取り組み継続する事だと思っています。今回の激トレ後、JORA協力艇のMonday Night(Class40)に出稽古を続け自身の経験向上に取り組む積極性は大したものです。
最近身体作りも始めたとかで、さらなる発展を期待しています。

ほかの記事を読む