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2025-09-07

函館キャンプ・佐井レース レポート【鈴木裕介氏】

先日公開した峰雪さんの神奈川県浦賀から北海道室蘭港に向けた約500マイルのOBCトライアルでも触れましたが、貴帆は北海道函館を泊地として津軽海峡で現在セーリングキャンプを行っています。完成した函館ベースキャンプ「風の家」を起点にして8月24日に行われた第48回津軽海峡横断ヨットレース(佐井レース)に参加された鈴木裕介氏のレポートが届きました。


左から筆者、峰雪氏、新松氏

文・鈴木裕介氏 写真・JOSA

2年ぶりに貴帆が函館に向かったことで、2024年GWの沖縄キャンプ以来の本格的な貴帆でのセーリングをしたく函館入りを決意。

夏の終わりが近づいた函館キャンプに参加した。

函館は2023年の貴帆による青函レース以来2年ぶり。前回は読みにくい風と強い潮流に翻弄され思ったようにセーリングができなかったが、今回は佐井⇒函館レースでリベンジを狙う。

貴帆の泊地は金森倉庫向いの緑の島ヨットハーバーにあり、函館中心街も近く、今年から風の家が整備されセーリングキャンプに最高の条件が整っている。函館の街の雰囲気と相まってアフターセーリングも含め全方位で楽しめる環境が整っている。

今回のメンバーは北田さん、新松さん(貴帆でトランスパック経験もある青森のお父さん、2年前の青函レースぶりの再会)、峰行さん(サバトレ参加からJOSAの活動に積極的に携わり浦賀~函館キャンプにも参加)に加え私の4名だ。

新松さん
新松さん

金曜8時半着のフライトで東京から函館入りし、そのままマリーナへ。

早速セーリングへ。

10ノット以下の心地よい風の中セールのチェックだ。Code0、A2、A5、ミディアムスピン試す。セッティングとクルーワークを確認しつつ、各セールのトリムと上り角度を確認。貴帆の擬装は他の艇とまったく異なり特殊な部分が多く、1年以上前の沖縄以来久しぶりだったため忘れていないか心配だったが、さすがに1000マイルをダブルハンドで真剣に走った経験は体が覚えているようだ。思ったよりはスムーズにバウワークをこなせたと思う。メインのリーフ手順と擬装の状態も確認しハーバーバック。

セールチェックとクルーワークの確認

20マイルほどのスプリントレースに向けて備品を吟味し準備を整える。夕方、船底掃除もなんとかこなし、準備を整えた。

翌土曜日はスタート地点の佐井港へ。20ノット程度の風を横から受けて快適セーリング、と思ったがクローズリーチで一時30ノット超えとなり津軽海峡の洗礼を浴びる。潮もきつく場所によっては非常に波が悪く、時に激しく船体をたたかれ頭から波も被りながら佐井を目指す。

レース前にセールを温存と思いつつ、ソレント(ジェノア)とストームジブの2枚張り、ウォーターバラストも使いあっという間に艇速10ノットを超えでプッシュ。一時30ノットを超えソレントを慌てて巻き取るシーンもあったがピュア外洋レーサーの力を垣間見る刺激的なセーリングとなった。

佐井港に着いてからはお風呂送迎など地元の方の温かい歓迎を受け、他の参加艇と交流しながら心地よい時間を過ごした。

翌日はいよいよレース。が、予報通り風がない。まったく風がない。

心もとないそよ風を拾いなんとか8時にスローペースでスタート。

しばらく我慢して走るが艇速2ノット、対水スピード0ノットで気が付けばスタートラインより後退!津軽海峡近海の強い潮流に行く手を阻まれる。

スタートから上り気味の風だったが少し風が振れて安定する気配。早速code0をあげて先行艇を追い上げる。しかし12時までに風がまた止み、残り15マイルと絶望的な状況のため無念のリタイア。結果的には参加全艇リタイアとなりレースは成立しなかった。

函館も戻った後はレース表彰式。表彰艇はないが、歴史ある洋食店の一室で和やかな交流の場となった。個人的には石川さんがレース艇から撮影した実況付きレース動画がヒットだった。とてもアットホームな雰囲気で楽しい表彰式だった。

表彰式後は風の家でマリーナを望みながら一杯とともに語らう。こういった心地よい時間もセーリングの醍醐味の一部だ。

緑の島ヨットハーバーを望むJOSA風の家

今回は久しぶりに3日間みっちりセーリングをし、充実したキャンプとなった。

津軽海峡は普段活動している相模湾とまた違った魅力が詰まっていて面白い。強い潮流と風の変化で海況は様々な顔をみせ、地元艇でも苦労する難しい海域だ。そのような変化のある環境では充実したトレーニングができる。

風の家というベースキャンプもあり素晴らしセーリング環境だ。

チャンスがあればまた津軽海峡のセーリングにチャレンジしたい。

函館のベースキャンプ「風の家」
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